会計・経理

メールやWebの領収書を保存する:電子取引データの収集と検索の手順

自社の電子取引を収集・検索・保存できる運用を決める。具体例と確認表で、自分の条件に合う進め方を整理します。
この記事の内容
  1. 紙で届くものと電子で届くものを分ける
  2. 毎月取得するサイトを台帳にする
  3. 取引情報がどこに載っているかを確認する
  4. 日付・金額・取引先で探せる状態にする
  5. 保存先は改ざん防止と取出しまで比較する
  6. 月末に三件を選んで検索と表示を試す
  7. 関連記事

メール添付やWebサイトで受け取った領収書は、必要な電子データを集め、後から検索・表示できる形で保存します。印刷して紙のファイルへ入れるだけでは、電子取引データの保存への対応を終えたことにはなりません。

少人数事業では、高機能なシステムを入れる前に、どこへ領収書が届き、誰が保存し、どう探すかを決めることが大切です。この記事は2026年10月8日に確認した国税庁の案内を基に、日常の収集手順を整理します。個別の適用条件は税理士等と確認してください。

紙で届くものと電子で届くものを分ける

最初に、領収書や請求書の受取経路を一覧にします。紙を撮影するスキャナ保存と、最初から電子でやり取りしたデータの保存は、同じ画像ファイルになっても制度上の扱いが異なります。

国税庁は、メール、Webサイト、インターネット取引などで受領・交付する取引情報を、電子取引の対象として案内しています。受け取った領収書だけでなく、自分が電子で送った請求書等も、保存対象の確認から漏らさないようにします。国税庁の電子取引関係

受取・発行の経路集める対象の例担当を決める場所
メール添付添付された請求書・領収書業務用メールの受信箱
メール本文本文中の取引情報添付がない通知メール
Webサイトダウンロードできる領収書等EC・通信・SaaSの管理画面
自社からの送信発行した電子請求書等請求書ソフトと送信記録

クレジットカードの銀行引落しが確認できても、その支払に関係する取引情報の保存まで済んだとは判断しません。

毎月取得するサイトを台帳にする

サブスクの領収書はメールに添付されず、管理画面から自分で取得する場合があります。「必要なときにログインすれば見られる」という運用では、解約や担当変更で探せなくなることがあります。

収集台帳には、サービス名、請求周期、取得場所、担当、最終取得月を記録します。ログイン用パスワードは同じ表へ直接書かず、管理場所だけを示します。毎月の銀行・カード確認と同じ日に、未取得のサービスを点検すると収集漏れを見つけやすくなります。

架空の記入例は、「Aデザインツール/毎月/管理画面の請求履歴/代表者/9月分取得済み」です。領収書が年一回発行されるサービスなら、毎月未取得として扱わず、次回確認月を記入します。契約を終了する場合は、最終請求が発行される時期も確認します。

取引情報がどこに載っているかを確認する

メールの件名だけを保存しても、必要な取引内容が残らない場合があります。添付ファイルに情報があるのか、本文にあるのか、本文のリンク先にあるのかを確認し、その情報を含むデータを保存します。

メール本文に取引情報が含まれる場合と、添付に含まれる場合の扱いは、国税庁の電子取引Q&Aで確認できます。単に受信箱に残っているというだけでなく、必要なときに表示・出力・提出できるかまで考えて保存方法を決めます。国税庁の電子帳簿保存法Q&A

添付された原データは、金額や宛名を自分で修正しないようにします。内容に誤りがあれば発行元へ訂正を依頼し、旧版と訂正版の関係が分かる形で管理します。ファイル名を整理する場合も、別の取引の資料に上書きしないルールが必要です。

日付・金額・取引先で探せる状態にする

保存先がフォルダでも専用ソフトでも、経理担当者以外が必要な取引を探せるかを確認します。ファイル名に長い説明を付けるだけでなく、取引日、金額、取引先を一覧で検索できるようにすると、月末の照合にも使えます。

国税庁のチェックシートは、検索要件、改ざん防止措置、表示等の条件を整理しています。検索については一定の条件下で緩和がありますが、少人数だからすべての保存義務がなくなるわけではありません。自社の売上高の判定期間やダウンロードへの対応条件を原典で確認します。電子取引データ保存要件チェックシート

独自の整理例として、取引日「2026-10-05」、取引先「A制作」、金額「11000」、資料ID「R-102」を一覧にし、元ファイルへのリンクを付けます。日付の形式や取引先名の表記を統一すると、「A制作」と「株式会社A制作」が別々に見えて探し漏れることを減らせます。

保存先は改ざん防止と取出しまで比較する

専用ソフトの導入は選択肢の一つです。ただし「電帳法対応」という製品表示だけで、自社の運用がすべて要件を満たすと判断しません。対象機能、設定、保存するデータ、利用者の作業を確認します。

国税庁は改ざん防止の方法として、タイムスタンプや履歴の残るシステム等のほか、事務処理規程を定めて運用・備付けする方法も示しています。フォルダへ置くだけで終わらせず、採用する方法を決めて運用する必要があります。国税庁チェックシート

保存先を比べる点確認する質問
収集メールやWebから誰が取り込むか
修正管理訂正・削除の扱いを説明できるか
検索指定した取引を探せるか
出力原データと検索情報を取り出せるか
継続解約・退職後も必要期間を保存できるか

ソフトを契約する前に、この五つを一連の作業として試すと、導入後の手間を把握できます。

月末に三件を選んで検索と表示を試す

保存が機能しているかは、ファイル件数だけで判断しません。たとえば月末に、メール添付、Web取得、発行済み請求書から各一件を選び、日付・金額・取引先を手がかりに探します。開いたファイルが正しい取引で、必要な文字が読めることも確認します。

確認記録には、資料ID、保存先、探せたか、表示できたか、不足があった場合の対応を残します。個人端末にしか保存されていなかった場合は、事業として必要な人が利用できる保存先へ整理します。バックアップも、保存先とは別の故障や誤削除へ備えられるかを検討します。

最初の作業は、新たなソフトの契約より、現在使っている決済先と資料の受取場所を列挙することです。紙の領収書を減らす話はスキャナ保存と原本廃棄の確認に分け、電子で届いた資料はその収集と検索を確実に回してください。

関連記事

情報の確認について

料金・機能は記事内に記載した確認時点の情報です。申し込み前に公式サイトで最新の条件をご確認ください。

主な情報の確認日:2026.10.08

編集方針・情報の確認方法 →