紙と電子の契約書を一緒に管理する方法:原本の場所とPDFを一つの台帳につなぐ
紙と電子の契約書が混在しているなら、すべてを同じ形式に変える前に、一つの台帳から原本の場所を探せるようにします。紙をスキャンして検索しやすくすることと、紙原本を捨ててよいかを判断することは別です。保管方法は、契約や適用される制度に合わせて確認します。
1〜5人の会社なら、最初は契約番号、相手、現行版、原本の区分、保存場所をそろえるだけでも役立ちます。専用の契約管理ソフトは、件数の増加や権限管理で困る点が明確になってから検討できます。
契約番号を紙の背表紙と電子フォルダに共通で使う
まず重複しない管理番号を決めます。たとえば「CT-2026-014」を台帳、紙ファイルの見出し、電子フォルダ名に入れれば、名称が似た契約でも探し分けられます。番号は会社の法的な登録番号とは別の、自社管理用の番号です。
| 管理番号 | 原本の区分 | 原本の場所 | 閲覧用の控え |
|---|---|---|---|
| CT-2026-014 | 紙 | 鍵付き保管棚A・冊子3 | 共有フォルダのスキャンPDF |
| CT-2026-015 | 電子署名付きファイル | 電子契約の書類IDと保管先 | 同じファイルへの閲覧リンク |
| CT-2026-016 | 紙と関連する電子資料 | 棚A・冊子4と指定フォルダ | 契約と別紙の一覧 |
台帳は原本そのものの代わりではなく、探すための索引です。契約書の内容を書き写すだけでなく、元の資料へ戻れるリンクや場所を持たせます。紙の控えしかない場合は、その状態も明記します。
スキャンPDFと電子署名済みPDFを区別する
スキャンした紙契約は、見た目がPDFでも、最初から電子的に締結した契約と同じ経緯ではありません。「PDF」という拡張子だけで分類せず、「紙原本の控え」「サービスから取得した締結済みファイル」のように出所を残します。
電子契約では、署名済みファイルと証明資料の対応も確認します。クラウドサインの場合は、書類IDで契約ファイルと合意締結証明書を対応させる案内があります。製品ごとの証明資料の名称や出力方法を確認してください。公式の証明書説明
検索のためにOCRを使っても、読み取られた会社名や金額を正しいと決めつけないようにします。検索で候補を絞り、契約の原本・締結済みファイルを開いて確認する流れにします。
現行版と過去の版は状態の列で分ける
契約を変更したときは、古いファイルを削除して最新のPDFだけを残す方法を避けます。元契約と変更文書の関係が分からなくなるためです。「有効」「終了」「変更文書あり」「確認中」のように状態を記録し、対応する文書をつなぎます。
架空例として、元契約CT-014に対して金額を変更する文書CT-014-A1があるなら、両方を同じ案件から開けるようにします。台帳に最新金額を書くだけでなく、適用開始日と根拠となる文書を確認できることが大切です。
ファイル名に含める日付が、作成日か締結日かも統一します。日付の意味が異なると、並べ替えだけで現行版を判断するのは難しくなります。現行の条件を確認するときは状態の列からたどるルールにしましょう。
閲覧と編集の権限を分ける
契約台帳には金額や個人の情報が含まれることがあります。全員が検索できる索引と、閲覧を限るファイルを分ける場合は、索引のタイトル自体に不要な情報が出ていないかも確認します。
たとえば制作担当には業務範囲と納期を確認できる資料を共有し、給与・役員報酬に関する契約を同じ共有フォルダへ入れない運用にします。閲覧できる人が、原本を削除・置換できる状態になっていないかも点検してください。
少人数事業の情報管理を整理する資料として、IPAの中小企業向けガイドラインも参照できます。担当者が離れるときの権限整理や、管理責任者を決める作業を契約保管にも当てはめます。
月に一度、三つの探し方を試す
台帳を作った後は、保存件数だけでなく実際に見つけられるかを確認します。「取引先名から現行契約を探す」「請求条件の根拠を探す」「紙原本を取り出す」の3つを、普段管理していない人が試すと改善点が分かります。
見つからなかった理由が、命名の違い、権限不足、リンク切れ、紙の移動のどれかを記録します。リンク切れならフォルダ移動時の更新ルール、紙の場所違いなら持出記録など、原因に合わせて直します。
バックアップも、ファイルがあることだけでは十分ではありません。契約ファイルと索引を対応させて取り出せるか確認します。まず進行中の10契約を整理し、検索と取り出しを通せたら、過去の契約へ対象を広げてください。