給与振込データの作り方を選ぶ:銀行手入力とファイル取込の確認表
この記事の内容
給与ソフトで明細を確定しても、従業員への振込は別の工程です。振込ファイルを出力しただけ、銀行へアップロードしただけ、という状態と、支払が実行された状態を分けて管理します。
従業員が1〜5人なら、銀行画面への手入力を続ける方法も、対応ファイルを取り込む方法も候補になります。人数だけで決めず、入力する項目、確認者、銀行の受付期限をそろえて比較しましょう。
給与の確定と銀行での支払を分ける
給与計算は、支給項目と控除から支払額を確定する仕事です。銀行での操作は、その額を正しい口座へ送る仕事です。給与ソフトと銀行が連携していても、どの時点で送信され、誰が承認するかを確認します。
架空の3人会社なら、「給与確認済み」「振込データ作成済み」「銀行登録済み」「承認済み」「実行結果確認済み」の状態を一つの表に記録します。社長一人がすべて操作する場合も、状態を分ければ中断した作業を再開しやすくなります。
振込ファイルに含まれる金額は、手当の合計だけとは限りません。給与ソフトから出た差引支給額と、銀行の明細に表示された金額を照合します。現金など別の支払方法が混ざる場合は、全員の給与合計と銀行振込合計が一致しない理由を記録してください。
銀行の契約・形式・締切を確認する
給与ソフトが全銀フォーマットを出せても、現在の銀行契約でファイル取込が使えるとは限りません。利用できるサービス、給与振込と総合振込の違い、受付日、承認期限、手数料を銀行の案内で確認します。銀行名が同じでも契約形態によって条件が異なります。
freee人事労務では総合・給与振込依頼ファイルを作成し、オンラインバンキングへ取り込む流れを案内しています。出力には種別や振込日、ファイル形式の選択があり、「CSVなら何でも同じ」という理解では足りません。freeeの給与・賞与振込ファイル
| 確認する項目 | 会社で記録する内容 |
|---|---|
| 銀行サービス | 契約している名称と利用者 |
| 受取形式 | 固定長・CSV等の指定、文字の条件 |
| 受付期限 | 登録期限と承認期限 |
| 実行日 | 支給日と営業日の扱い |
| 権限 | 作成者、承認者、結果確認者 |
| 費用 | 月額料金と振込手数料 |
受付期限を過ぎた場合に使える方法も、平常時に確認します。急いで別の振込を追加する前に、元の依頼が実行される状態かどうかを確かめる必要があるためです。
口座変更は依頼と確認を別にする
口座情報の変更は、給与計算の月次作業に紛れやすい項目です。本人からの依頼を受けたら、既に把握している連絡先など、会社が決めた方法で確認します。届いたメールの返信だけで完了させる運用にしないことが、誤登録の防止につながります。
変更記録には、対象者、適用する支給日、確認者、登録者を残します。口座番号そのものを広い共有チャットへ転記する必要はありません。本人確認が済んだ資料を権限を絞った場所で扱います。
銀行名や支店名が変わった場合も、ソフトの登録と振込ファイルを見直します。freeeの公式ヘルプには、銀行名やフリガナの不一致に関する確認事項が掲載されています。振込ファイルのよくある問い合わせ
手入力を選ぶ場合も、この確認は省けません。保存済みの振込先を利用する時は、表示された相手と口座末尾などを確認してから金額を入力します。
ファイルは本番送信前に件数と金額を照合する
ファイル取込の試験をする際は、銀行が用意する確認機能や案内された方法を使います。架空の口座情報を実際の振込として送信しないでください。給与ソフト内の出力確認と、銀行側の正式な試験方法を分けます。
架空の計算例として、Aさん210,000円、Bさん180,000円、Cさん90,000円なら、件数3件、合計480,000円です。まずこの二つを確認し、その後一人ずつの金額と振込先を照合します。合計が一致していても、二人の金額が入れ替わっていれば正しい振込にはなりません。
出力したファイルは、そのまま銀行が指定する方法で扱い、不用意に表計算で開いて再保存しないようにします。文字コード、桁数、先頭の0などが変わる可能性があるためです。修正が必要なら、原則として給与ソフトの元情報を訂正し、出力し直す手順を決めます。
二重登録を防ぐ版と承認の記録を残す
同じ給与のファイルを何度も作ると、どれが銀行へ登録済みか分からなくなります。ファイル名に支給日と版を入れ、銀行の受付情報と結び付けます。「最新」という名前だけでは、後から修正した際に履歴が消えます。
架空の記録例は「20261025給与_v2、3件、480,000円、承認待ち」です。v1を取り消したのか、未登録のままなのかも明記します。再登録前には元の依頼の状態を確認し、二つとも実行される可能性がないことを確かめます。
承認者が別にいる場合は、金額だけでなく対象支給日、件数、口座変更の有無を渡します。承認ボタンを押したという事実と、入出金結果を確認したことは分けて記録してください。銀行の予約状態を、支払済みとして会話しないことも大切です。
手入力とファイル取込を自社の変更頻度で選ぶ
一人分の定額給与を代表者が確認して振り込む場合と、毎月の勤務時間で5人分の金額が変わる場合では、負担が違います。手入力は準備が小さい一方、毎月の転記が残ります。ファイル取込は初期の対応確認が必要ですが、同じ数字を打ち直す工程を減らせます。
架空例として、手入力と確認に毎月20分、ファイルの出力と確認に毎月12分かかり、初期設定に2時間使うなら、年間の差は96分です。この仮定では初年度の作業時間だけで大きな削減とは言えません。実際の操作時間やミスの修正負担を記録して比較してください。
給与ソフトを選ぶ時は、少人数向け給与ソフトの比較で計算機能を絞り、利用銀行との受渡しを追加で確認します。銀行操作を含む一連の手順が自社で続けられることを、ファイル出力機能の有無より優先して判断しましょう。