給与ソフトの乗り換え:切替月・年累計・過去明細の確認手順
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給与ソフトを乗り換えるときは、社員名簿だけを移しても給与業務は引き継げません。支給・控除の設定、今年の給与と賞与、過去明細、専門家へ渡す資料まで、用途ごとに移行範囲を決める必要があります。
切替日は料金の更新日だけで決めず、次の給与をどちらで確定するか、年末調整をどちらで行うかに合わせます。この記事では、少人数の会社が移行前に作る一覧と、旧契約を止める前の確認手順を示します。
いつから新ソフトで計算するかを決める
最初に「新ソフトで初めて支払う給与の支給日」を決め、その勤怠期間、入力期限、確認日を逆算します。「10月から切替」だけでは、10月勤務分なのか10月支給分なのかが曖昧になります。
架空例として10月25日支給分を新ソフトで計算するなら、9月21日〜10月20日の勤怠を取り込む、といった期間の対応を明記します。会社の締日が違う場合は、その条件へ置き換えてください。ソフト変更と同時に締日や給与制度まで変えると、差分の原因を切り分けにくくなります。
年の途中の移行では、その年の既存の支払実績をどう引き継ぐかも必要です。freee人事労務には年途中の利用開始を想定した給与・賞与の一括取込機能がありますが、取り込めるのは年末調整に必要な合計項目で、詳細項目は別機能です。freeeの年間給与・賞与取込
移すデータを用途別に分ける
全データを一つのCSVで移そうとすると、取り込めない項目を見落とします。新しい計算に必要な設定と、過去を確認するための帳票を分けましょう。
| データの種類 | 主な用途 | 移行時の確認 |
|---|---|---|
| 社員台帳 | 対象者の識別 | 社員番号・在籍状態 |
| 支給・控除設定 | 今後の給与計算 | 計算方法・適用開始日 |
| 今年の給与・賞与 | 年累計の確認 | 支払月・二重計上 |
| 過去明細・台帳 | 問い合わせや記録保存 | 読める形式・検索方法 |
| 申請結果・提出控え | 手続きの確認 | 受付情報・確定版 |
| 権限・連携設定 | 継続運用 | 管理者・委託先・接続先 |
退職者も一覧から落とさず、その年の処理や保存に必要な情報があるかを確認します。移行対象外にするデータでも、旧ソフトを解約した後の参照先は必要です。削除と移行不要を同じ意味にしないでください。
出力形式と入力形式の差を先に見つける
旧ソフトからCSVを出せても、新ソフトが同じ項目を受け取れるとは限りません。社員番号、日付、時間、金額、空欄の扱いを対応表にします。取込先の公式サンプルを先に入手し、旧データのどの列が不足するかを調べます。
例えば「基本給」に複数の手当が合算されていた旧データを、新ソフトの個別項目へ自動で分解することはできません。根拠の明細から分けるか、過去の確認用として合計だけ持つかを、用途に合わせて決めます。足りない値を推測で埋めるのは避けます。
勤怠連携も新しい給与ソフトに合わせて確認が必要です。旧製品用の出力を使い続ける場合は、時間単位と項目定義を再照合します。勤怠CSVを給与ソフトへ取り込む手順で、十進数と分単位、社員番号、再取込を点検できます。
移行ファイルの原本は保存し、加工版を別ファイルにします。何を変えたかが分かれば、エラーで取り直すときにも同じ作業を説明できます。
並行計算は差が出る項目を確認するために行う
新旧両方で一か月分を確認できるなら、同じ確定済みの入力条件を用いて比較します。銀行への支払や明細公開まで二重に行う必要はありません。計算の比較用と、本番処理用の区別を明確にします。
最初は支給総額、控除合計、差引支給額を比べ、違いがあれば個別の項目へ戻ります。合計が一致しても項目の振替で相殺されることがあるため、基本給、手当、保険料、税額などを項目ごとに確認してください。
架空の照合例として、旧ソフトが250,000円、新ソフトが252,000円の支給総額なら、2,000円の差をいきなり調整額で消しません。通勤費の登録漏れ、対象月、手当の条件など、根拠を順に確認します。差が旧設定の誤りによる可能性もあるため、旧計算へ機械的に合わせず担当の専門家へ確認します。
年累計と過去明細を別に照合する
年累計が正しく引き継がれたことと、過去の明細を一枚ずつ見られることは別です。合計項目の取込しか行わない場合、過去の個別手当や勤怠の内訳は旧帳票で保管する必要があります。
架空例では、1〜9月の給与支給実績が2,700,000円、賞与実績が300,000円なら、合計3,000,000円と内訳を確認します。この数字は税額計算例ではなく、移行前後の加算照合の例です。新ソフトで既に確定した月を重ねて取り込まないよう、対象月を一覧で管理します。
freeeの年間取込にも、確定済みの明細がある月は取り込めない等の条件があります。製品の対象プランと取込の制限を読み、年累計だけを入れればすべて移行したと考えないようにします。年間取込の事前確認事項
年末調整の担当が変わる場合は、対象年の処理をどちらで完了するか、途中データの受渡しを誰が確認するかを決めます。少人数の年末調整回収も合わせて整理してください。
旧契約は保存データを開いてから止める
解約前には、帳票をダウンロードしただけでなく、別の端末でも読めるか、必要な年度と従業員を探せるかを確認します。ZIPの中に何があるか分からない状態では、問い合わせ時に使えません。
出力したデータは、保存先、閲覧できる人、対象期間、作成日を記録します。保管期間や原本の扱いは、書類ごとの要件を専門家へ確認します。解約後に閲覧できる範囲や再契約の条件も、製品側の案内で確認してください。
最後に、銀行への出力、会計連携、専門家の招待、従業員の明細閲覧先を新しい運用へそろえます。旧契約の自動更新を止める判断は、この確認が済んでから行います。乗換完了の条件を「新しい画面に社員が並んだ」ではなく、「次の給与と過去の照会を両方処理できる」に置くと、必要な作業が見えてきます。